別館 ハタハタとカンコ

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イクステリア1-6

油断

敵手は口元から一筋の血を流しつつ……その唇が、嘲るように吊り上がった。

 大気中の『アンジール』がざわつくような感覚を肌に覚え、足元の雪の感触が変化するのを察知したのは全くの同時。

 咄嗟に横に跳ぶ。が、少しばかり遅かった。左足に、激痛が奔る。傷の深さを確認する余裕も、どういう攻撃を受けたのか推察する時間も惜しい。

陽を握った左手を大地に突き、右足で踏ん張り敵に向き直る。

 視界一杯に氷の雪崩が迫ってきた。とにかく物量を叩きつけようというのか、その形状は刃のようなものから氷塊としか言い様のないものまで様々。サイズもまちまち。その数、実に100以上!

 左足の傷は深い。避け切れない。両腕と陰陽を電磁加速。双剣を動かし、迫る死を必死に払い、叩き落とし、抵抗する。

 背が悪寒を覚える。避け切れないと判断したにもかかわらず、右足の力と全身のバネを用いて、酸性雪の降り積もっていない右後方の林へ逃れるべく、跳躍。

 無数の氷が、左腕を襲う。払いきれない氷の礫が、刃が、貪るように左腕を、左足を食い尽くしていく。

 着地し、林に逃げ込めた時には、左腕と左足は鮮血に塗れていた。左手に握っていた陽は、今の攻防で落としている。

 スペアの陽を、左足に装着している鞘から引き抜こうとし……無い。先程の攻防で、落としたか……!

「その表情から察するに、電磁加速はもう出来ないようだな」

 陰陽の刃は、二本が揃ってはじめて電磁加速が行える。陰だけでは脳覚の行使、電磁加速能力の使用は不可能……!

「林に逃げ込んだのは正解だ。雪があれば、いくらでも足元から攻撃が出来る」当初はしなかった、足元からの攻撃を繰り出してきた。つまり、本気にさせてしまった……「だが電磁加速は行えず、その手足ではもうどうすることも出来まい」

目を開けているのも難しいほどの吹雪の中で、氷が、獣の雄叫びのような音をたてて周囲に形成されていく。前、後ろ、左、右……自分を中心に、360度全てを囲むように。

どうする? どうすればこの攻撃を凌げる? どこが一番突破しやすい?

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