ミッション
10メートル四方のブリーフィングルームには、無数のパイプ椅子で埋められている。もちろんその上にはガラの悪い傭兵やら元犯罪者やらが腰を埋めている。各々、タバコを吹かせて談笑したり、寡黙なまま俯いていたりと、様々なスタイルで司令官であるルナのの説明を待っていた。
結局、昨日は考えが全くまとまらなかった。傷がうずいたせいもあり、ほとんどを睡眠に費やした。そのため基地内の把握すら済んでいないし、割り当てられた個室には陰陽とスーツしかない有様だ。これからどう生きていけばいいのか見当すらつかない。
「各員、注目」部屋の前方にある巨大液晶パネルに、映像が映し出された。
そこにあるのは弾薬やスーツ等を積んだと思われるトレーラーとそれらを護衛するイクステリアと思しき人物達。
「エトランゼ13はこれより一週間、集中的に北方からミュンツァーへ侵攻しているグリーンファウスト軍を叩く。対象は敵主力部隊と遊撃部隊、それに補給部隊……」
「おいルナ、遊撃や補給部隊相手なんてつまんねえぜ!」
「もっと派手にやらせろよ、派手によぉ」
「補給部隊相手でも、実戦部隊相手と変わらぬ報酬が与えられるのか?」
「静粛に!」ルナの一言で、まだざわめきはあるものの、幾分か静まる。
ルナは液晶画面に映し出された、赤い四角の光点を見やる。
「敵主力部隊の人員は、およそ三大隊。イクステリアの人員で三千人」
ルナが指を鳴らす。液晶画面に、赤い四角の光点の周りに、無数の赤丸の光点が灯される。
「そして、その周囲に補給・遊撃部隊が散開している……なんだ、シン」
ルナが見やったのは、ブリーフィングルームの右端にいた、薄い青色の髪に、緑瞳が冷たい印象を与える男。顔の左半分が焼け爛れていた。
「ミュンツァーからの支援は?」
「金も兵も、全てこちらでどうにかしろ、というバカげた返答は先程あった……今回は、私も出る。報酬については、規定通り撃破数、撃破内容によって考査される。スーツに内蔵されているカメラが破壊された場合、記録がなくなるから、報酬はゼロだ。他の詳しい項目は経理課で聞け。解散!」
「どけどけ! 一番槍は俺がいただく!」
「レグマン社のアンジール・バレッドは品切れだしな……タフト社ので我慢するか」
「ケッ! そう言ってこの前返り討ちにあったの、どこのどいつだよバーニー?!」
「そういうテメェは財布の中身心配してろや! スーツのバッテリー買う金が足りねえって前、ベソかいてただろうが!」
傭兵達は嬉々とした面持ちで我先にと争ってブリーフィングルームから駆け出していく。