戦闘
轟音が聞こえてきた。耳での判断は出来ないが、前方から赤い炎が一瞬ではあったが見えた。続いて、爆発。熱量操作系の脳覚によって生み出された炎が、火薬に引火したのだろう。
横転したトレーラーは二台あった。うち一つ、敵軍のグリーンファウストのものはすでに燃え盛っている。そしてもう一台はミュンツァーのもの。こちらはまだ火に包まれていない。燃料タンクから漏れている液体は無色透明ではなく、やや黄色い。純粋な化石燃料ではなく、バイオエタノールを主体とした混合物だろう。
トレーラーから黒い影が飛び出してきた。横合いからの吶喊に、咄嗟に陰の刃を叩き付ける。鈍い手応えが手首に返ってきた時には、すでに影は眼前にいない。
受けに回っていてはマズイ。横転したトレーラーを中心とした辺りではすでに乱戦になっており、足を止めている者は皆無だ。
電磁加速を開始。陰陽を起点とし、手製のスーツが磁場に包まれていく。同時に脳内物質を分泌し、知覚速度を上昇させる。
視界に捉えたのは鉛色の弾丸と、黒い影。弾丸は八つ。最小限でかわす、なんて器用な芸当は出来ない。片っ端から双剣で打ち落とす。
八つ目を打ち落とすと同時に、懐へ潜り込まれた。陽を握る左腕を、腱が切れる限界ギリギリの速度で動かし、牽制の払いを打ち込む。影はあっさりそれを避けたが、その間にこちらもバックステップ。五メートルほどの距離を置く。
距離を取り過ぎるのは厳禁だ。自身の能力では、電磁加速した物体の投擲は、未だ困難。戦うべき距離は、あくまで接近戦。
地を蹴る。策など無い。最大速度での突撃。
相手は、こちらの速度が相手を凌駕している事にようやく気付いたようだが、もう遅い。この距離なら、経験とレンジの差を埋められる。力と速度で、押し切れる!
引き金を引くよりも早く接敵、左手に握った剣を弾き飛ばし……戦闘力のみを奪えると判断。銃を握った左手を右上腕の辺りから、逆手に持った陽で刺し貫く。
左手を伝う不気味な感触に怯みそうになりながら、陽を敵の腕から引き抜く。大きな血管を切ってしまったのか、大量の血が傷口から迸った。
それに、目を奪われた。視界が赤一色に染まったのと同時に、左肩に痛みが奔った。痛みで、足を止めてしまう。続いて閃いた胴への一撃を、右の陰で打ち合う。
次は、なんだ? どこから攻撃がくる? 剣か? 銃か? それとも……