別館 ハタハタとカンコ

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イクステリア2-5

甘さの代償

気付くと、敵手は大きく距離を取っていた。およそ50メートル。

背に感じたのは、氷柱を突き立てられたような悪寒。

足元には、淡く発光している物体。最初の攻防で打ち落とした弾丸だ。

「アンジール・バレット……!」

 ナノマシン『アンジール』を金属に混ぜた弾丸。一度しか使用出来ない消耗品ではあるが、これを用いて発動された脳覚は、ブレイン・ウエポン単体で脳覚を起動した場合よりも、はるかに強力な攻撃が可能となる、とイクステリアの教練で言われていた。

 空から、氷槍が降り注いできた。十七、八……数えられる程度の量。しかも一斉に降り注いでくるのではなく、一本一本の高度がバラバラな上、範囲も一点に集中していない。

 これなら楽にかわせる、迎撃出来る。そう思った瞬間。

 もっとも地表に近い氷槍が、微かに膨張したように見えた。爆発。閃光に目が眩み、次いで大音量に耳をやられた。

見えない……聞こえない……!

視界を奪われたのは数秒もなかっただろうか。常人でも、すでに視認できる位置まで氷槍は下降してきていた。マズイ、全ての氷槍が今のように爆発を起こしたら。

電磁加速を開始。とにかく、離れなくては。距離を置きすぎる事は攻撃手段の放棄に等しいが、それもこれも、この爆発する氷槍を凌がなくては話にならない。

氷槍が、堰を切ったように爆裂していく。衝撃と熱が、津波のように間断無く迫ってくる。七つ目の氷槍が爆発。時間にすれば視力が回復してから三秒も経っていない。遅い。時間の流れが、ひどく遅く感じられる。足を止めるな、止めたら死ぬ……!

視界の端で氷槍が三本まとめて明滅したのが見えた。刹那、一際大きな爆発が生じた。陰陽を胸の前に交差させ、電磁場の盾を眼前に形成。

今までの数倍の衝撃が、電磁場の盾を通して二本の腕に伝わってきた。衝撃に押され、胸元で交差させていた陰陽の刃が弾かれる。一気に熱と衝撃が襲ってきた。身体が宙に浮く。痛みと熱にうずく身体に鞭を打ち、空中で態勢を整えどうにか着地するが、左膝を地についてしまった。

顔をあげると、数えるのがバカらしくなるほどの氷槍が群れをなしている。回避は無理だ。迎撃も不可能。陰陽で電磁場の盾を形成すべく……立っていられなくなるほどの頭痛が、脳に奔った。電磁場の盾という、普段使わない用い方をしたからか。

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