別館 ハタハタとカンコ

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イクステリア1-4

回想2

「おい、起きろ」

 アルコールが残っている頭は、まだ睡眠を欲している。もう少し寝かせてくれ。

「起きろ、と言っている」

「ゲハッ……!」

 腹部に走った激痛が、睡魔を一瞬で退けた。

 腹を抱えつつ見上げると、そこにはスーツを着たオールバックの大男が屹立していた。左手には一枚の紙切れを持っている。彼の背後にも、黒尽くめの男が二人。

 歩き方から判断するに、高度な訓練を受けた軍人。恐らくは、イクステリア。

「……誰だ、あんた? 何で俺の部屋に勝手に入っている?」

 不快と不審を束ねた問いは、しかし無視された。

「レイ・バーンハルトで間違いないな?」

「ああ、そうだ……ついでに言うと、明日からミュンツァーのイドシュタットで、スーツ製作の任にあたることになっている」

 間違っても、あんた方のような物騒な人間と関わりのある『レイ・バーンハルト』じゃないぞ、と皮肉を塗す。

「過去の経歴を、我々は問わない。実力さえあれば、たとえ犯罪者であろうとも迎え入れよう。レイ・バーンハルト、貴君を我が隊の一員に志願したと認める」

 ?? 疑問が渦を巻く。この大男は、一体何を言っているのだ?

「どういう意味だ? そもそも、あんた等誰だ?」

「エトランゼ13」

 エトランゼ13。ミュンツァーで有名な、過去、国籍等は一切問わない、イクステリアの傭兵を集めた外人部隊。報酬が桁外れに高いが、死亡率も群を抜いて高い最前線。

「これが、君がサインした契約書だ」

 大男が左手に持っていた紙切れを、こちらに差し出す。

『宣誓文。私は、下記の条項の全てを承諾し、以下の任へ就く事を宣誓致します』

 その下には、確かに自分のサインがある。覚えのある定型文と、間違えようのない、己の書いた名前。だが、

「赴任地・ミュンツァー独立第13師団『エトランゼ13』……」

バカな! 文言が、変わっている!

「どういうことだ……アスカ! アス……」

 彼女を探そうと大男の脇を通り抜け……瞬間、殴られた。

 派手に吹っ飛ばされた体はテーブルにぶつかり、空になった瓶が床に落ち、砕け散る。

「この契約書がある以上、君は我々の体制化にある……逃亡は、勿論死罪だ。次はない」

淡々と紡がれる言葉は事務的。向けられた銃口にも殺気がない。

だからこそこの大男は、自分が不審な素振りを見せたら、次こそは躊躇うことなく、その引き金を引くだろうと、容易に想像する事が出来た。

 いつの間にか、大男の背後にいた三人が後ろに回りこんでいた。抵抗する間も与えず自分を組み伏せ、目隠しを兼ねたヘッドギアと、手錠をかけられた。

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